Friday, February 18, 2022

バイリンガルの育て方(その4:子供の苦労)

お子様がバイリンガルになることへの親の夢と期待は、お子様の年齢が低ければ低いほど大きいのが常です。お子様の年齢が低ければ、英語習得の初期段階ですので、比較的短期間で英語を話せるようになる可能性が高いです。親御さんは、自分のお子様がアメリカ人のクラスメートとプレイデートをしたり、授業で発言したりすることに、親御さんは一喜一憂しがちです。


お子様が帰国後に中学受験又は高校受験、大学受験をひかえている場合、親御さんは、英語の習得どころではない状態になります。帰国子女枠試験に関する確立した勉強方法がありますので、お子様はその準備に集中することになります。その場合、アメリカ人の友達がいる、いないという問題どころではなくなります。


お子様が現地のキンダーガーデンや小学1年生のころであれば、毎週末のようにクラスメートの誕生会があり、親御さんはプレゼントの購入に頭を悩ますものです。その年齢であれば、お子様の英語の吸収能力は計り知れないものがありますし、学校の授業も小学校3年くらいまではそれほど難しくなく、ある意味、「お遊び」程度ですので、お子様もすぐに慣れるでしょう。また、現地のアメリカ人生徒は、まだ若いので、「人種」や「外国人」を意識することなく付き合ってくれることも多いです。毎週末、プレイデートも成立しますし、親も毎日の送り迎えや週末の誕生会で、クラスメートの親としょっちゅう顔をあわしますので、簡単に仲良くなれます。


ところが、小学校4年生くらいになると、子供たちに自我が芽生え始め、様々なグルーピングができ始めます。ティーンエージャーになればグルーピングはますます顕著になります。その時期に、初めてアメリカに来て現地校に入ると、お子様によっては相当苦労する方もいます。苦労の度合いも人により異なりますが、心身のストレスを抱え、不登校になる場合もあります。日本人学校があれば、転校される方もいます。


知り合いのあるお子様は、小学4年生の時にアメリカに来て2年が経っても現地校になじめませんでした。クラスには日本人がおらず、アメリカ人の友達は全くできない状況でした。お子様は内向的な性格で、ランチや休み時間の時でも一人ぼっちのことが多かったようです。英語も思うように身に付かず、勉強も小学校の最終学年である5年生が終わるまで、ほとんど頭に入っていなかったようです。これがまさに「知の空白」です。このお子様は、「知の空白」だけでなく、英語のスピーキング力も向上しませんでした。結局、お子様のストレスが頂点に達し、毎朝登校前にお腹が痛いと言い出すようになりました。そのお子様は日本人学校に転校生されました。


過去に海外生活の経験がなく、初めてアメリカで中学に入学する場合は更に大変です。日本語言語がある程度発達した年齢ですので、英語の習得に少し時間がかかるという意味では、「知の空白」の期間は長くなります。他方、会話に慣れてくると、帰国しても忘れないでしょうし、言語能力が発達していますので、読み書きも慣れれば、現地校でなんとかやっていけるでしょう。帰国後に高校受験を考えている場合、放課後は、スポーツなどのクラブ活動もせず、近所の駿台やenaに直行するお子様もおられます。そのような生活スタイルですと、アメリカ人の友達はできにくいですし、ますます英語の習得は進みません。


過去に海外生活の経験がない高校生になるお子様が親の転勤について行くと、本当に大変です。アメリカの高校の授業は、とにかくモノを書かせることが多く、授業での発表も多く、宿題の多さにも面食らいます。アメリカ人の生徒の間でもいろんなグループ(例えば、アメフトなどのスポーツグループ、ガリ勉グループ、音楽家グループ、チアリーダーグループ、パンクロックグループ、環境系グループ、LGBTQグループなど)で別れていますので、外国人たる日本人が付け入る隙がなかなかなくて困るケースが多いようです。


その上、放課後はクラブ活動もせず、塾に直行という4年間を過ごす場合、英語の習得がなかなか進まない状況となります。


帰国したら帰国したらで、どの程度英語を身につけているかにかかわらず、「帰国子女」というレッテルを貼られ、それはそれでストレスになるお子様もいます。


帰国子女のお子様の苦労は本当に計り知れないと思います。

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