Thursday, November 23, 2023

アメリカの大学は高い!:長女の最終学年(シニアイヤー)の最終(春)学期の学費の支払い

11月20日、長女の春学期の授業料の支払いをオンラインで済ませました。

これが最後の大学への支払いとなりました。そういう意味では、感慨深いものがありますし、これ以上、大学への支払いがないと考えると、ある種の達成感があります。

さて、いくらだったのでしょうか。

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⭕️長女のアメリカの大学4年生の春学期分の費用。

・授業料:3万3,179ドル


春学期には、健康保険料も、ヘルスサービス料も、学生活動費も請求されないんですね。このことを忘れていただけに、とても安いと感じたのは、感覚が狂っているのでしょうか。

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⭕️長女が大学よりもらっている奨学金や学生ローン(春学期分)

返済不要の奨学金(grant):2万6,600ドル

・学生ローン:2,721ドル

合計2万9,321ドル

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⭕️親の負担分

・大学の授業料3万3,179ドルと奨学金及びローンの合計2万9,321ドルの差額は3,858ドル。これが親がポケットから支払う金額となります。悪くない額ですね。

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⭐️さて、大学4年の秋学期と春学期の支払いの合計をご参考までに明記します。

(タフツ大学4年生)

⭕️大学からの請求:7万1924ドル
・授業料:33179ドルx2=6万6358ドル

・健康保険料:4080ドル

・大学のMand Health & Wellness Fee : 1090ドル

・活動費:396ドル

計7万1924ドル

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⭕️返済不要の大学の奨学金

・University Grant:26600x2=5万3200ドル

⭕️連邦政府からのローン

・Direct Subsidized Loan 22-23 :5442ドル

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⭕️大学への直接の支払い:1万3282ドル

・7万1924ドルー5万3200ドルー5442ドル=1万3282ドル

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残念ながら、大学関係経費は、これだけではありません。

⭕️シェアハウスをしている家賃と食費、光熱費等

・家賃:月1,050ドル、年1万2,600ドル

・光熱費:年間500ドル程度

・食事代:年間1000ドル程度

・お小遣い:月200ドル、年2,400ドル

計1万6,500ドル

よって、大学の生活費には、年に1万6,500ドルかかります。

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⭕️タフツ大学4年時にかかる費用の合計=親の負担

大学への直接の支払い額1万3282ドル➕家賃等生活費1万6500ドル=2万9782ドル

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親の負担は2万9782ドルですが、今の為替レート(1ドル=150円)で、446万7300円。


ともあれ、長女は、タフツ大学の4年間を本当に良く頑張りました。感無量です!






Monday, November 6, 2023

2024年アメリカ大統領選挙:激戦5州でトランプ前大統領優勢(最新の世論調査)

2024年大統領選でバイデン大統領とトランプ前大統領が再び対決する場合を想定した主要激戦州での世論調査で、6州のうち5州はトランプ前大統領が優勢との結果が出ました。


調査は米紙ニューヨーク・タイムズと米シエナ大学が10月22日から11月3日までの間に、ネバダ、ジョージア、アリゾナ、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシン各州の登録有権者を対象に電話で実施されました。


バイデン大統領は5つの州でトランプにリードを許しており、その差はネバダ州で10ポイント、ジョージア州で6ポイント、アリゾナ州で5ポイント、ペンシルベニア州で4ポイント、ミシガン州で5ポイントとなっています。バイデン大統領は激戦州の中で唯一、ウィスコンシン州で2ポイント差でトランプ前大統領に勝つと予想されています。


仮に今日、選挙が行われたとすれば、トランプ前大統領は300以上の選挙人団票を獲得し、当選に必要な270票を上回るだろうとニューヨーク・タイムズ紙の分析結果は示しています。



しかし調査結果は、トランプ前大統領に対抗して別の民主党候補が立候補した場合、激戦州6州中5州で7~12ポイント、ネバダ州で3ポイント差で勝つと予想しています


トランプ前大統領、バイデン大統領ともに好感度は低いですが(それぞれ42%と42%)、有権者は多くの重要課題に関してバイデン大統領よりトランプ前大統領を信頼しているようです。59%が経済運営に関してバイデン大統領よりトランプ前大統領を信じており、移民政策、国家安全保障およびイスラエル・パレスチナ戦争の問題に関する有権者の信頼獲得において、トランプ前大統領はバイデン大統領を大きく(11~12ポイント)引き離しています。

6州全体でバイデン大統領の仕事ぶりを支持すると答えた人は38%、米経済の現状を「非常に良い」「良い」と評価した人は19%にとどまっています。


バイデン大統領の年齢(80歳)に対する懸念は2020年以降、著しく高まっており、当時、激戦州の有権者の34%が、バイデン大統領は大統領になるには高齢過ぎると述べましたが、現在は71%が高齢過ぎると答え、62%が大統領を務めるための頭脳明晰さに欠ける述べ、2020年の45%から増加しています。


バイデン大統領は、民主党支持層からの支持も失いつつある。30歳未満の有権者におけるバイデン前大統領の支持率はトランプ大統領をわずか1ポイント上回るだけで、経済運営に関しては28ポイント差でトランプ前大統領の方が信頼されています。45歳未満の非白人有権者におけるバイデン大統領のトランプ前大統領に対する優位性は、2020年の39ポイント差から6ポイント差へと激減しました。

バイデン大統領が大統領になるべき適切な気性を有していると答えた有権者は46%で、トランプ前大統領は43%でした。これは前大統領の扇動的な弁舌が、彼の当選確率を低下させていないことを示しています。

トランプ前大統領はこの数カ月間、共和党予備選挙を2桁ポイント差でリードし続けており、党の候補者になることが確実視されています。バイデン大統領の年齢に対する有権者の懸念は依然として強く、また民主党がしばしば選挙戦で掲げる人工中絶、銃などの社会問題は、米国人にとって経済問題と比べて優先度が低いことを調査結果は示しているようです。


調査結果は一貫して経済に関する懸念を示しており、トランプ前大統領の経済運営に対する有権者の信頼は、刑事訴訟4件と不正を巡る民事訴訟を抱える彼の法的問題に対する否定的感情を上回っています。

イスラエル国防軍IDFの地下戦闘部隊

ハマスは、ガザ地区の地下にトンネル網を張り巡らせているといいます。そのトンネルは、決して広くはなく、訓練された兵士出なければ、酸欠になるとも言われています。特殊訓練を受けたイスラエル軍の地下戦闘部隊は、呼吸マスクや赤外線ゴーグルなどを装備してトンネル網に入るようです。

トンネルでは、弾丸ですら、爆風の圧力が増幅されるそうです。発射で鼓膜が破れたり鼻血が出たりするとのこと。そのため、兵士らは防護用の無線ヘッドセットをつけ、発射音や閃光を抑えるサプレッサー装置と重く遅い弾丸を装備したライフルを携行しています。

時間の感覚がなくなり、方向感覚を失うこともあり、本当にパニックになることもあるようです。

イスラエル国防軍は、IDFは地中貫通爆弾の威力がおよばない深さ約70mにもおよぶガザの地下でハマスに挑むことになります。

地下戦は、2014年のガザ侵攻以来、特殊な装備とテクノロジーを用いるIDFは、地下戦とトンネル解体を専門とするサムールと呼ばれる特殊部隊の規模を3倍に拡大してきました。

2016年以降、米議会は地下トンネルの探知や地図作成、無力化に関する米・イスラエル防衛協力に3億2000万ドル(約48億円)の予算を承認しています。

イスラエルが2005年にガザ地区から撤退して以来、ハマスが構築した立体的な地下施設にある通路の長さは数百kmにもおよぶと考えられています。通路は地下の司令部や貯蔵庫、兵舎、出口を結んでおり、この出口を使ってハマスはイスラエルにロケット弾を撃ち込んだり、IDFの地上部隊を待ち伏せしたりするために不意に地上に現れ、その後地下に消えたりするそうです。

ハマスはこの10年間、鉄筋入りの半円型のコンクリートでトンネルを補強し、爆撃にも耐えられるようにしてきたようです。

あちこちに換気シャフトが設置され、照明などの電力は地上の送電網と地下の発電機からとっています。ハマスが備蓄している食料や水、燃料は3〜4カ月分と言われています。

通路が交差する部分や部屋への出入り口は、コンクリートにはめ込まれた厚さ2.5〜5cmの金属製のドアで塞がれていることが多く、これを破るには技術を要するそうです。

したがって、トンネルの中に部隊を送り込むのは最後の手段だと言われています。ハマスが爆弾や仕かけ爆弾をばら撒いていると考えられているからです。トンネルが小さいため、IDFは地上のように兵士の数と火力支援の優位性を生かせず、地下での交戦は一騎打ちとなります。

IDFはまず、空からハマスの地下網を攻撃しました。10月7日に始まった大規模な空爆は、建物の中に隠されていることが多いトンネルの入口や浅い部分を標的にしたとみられています。

ロボットや小型ドローンの投入もあり得るかもしれません。その一つがイスラエル企業ロボチームが開発した監視ロボットIRISです。遠隔から操作できる4輪走行のIRISは重さ1.6kg。同じくイスラエル企業のエルビット・システムズは昨年、ラニウスという名称の小型の自律型ドローンを発表しました。同社によると、屋内空間の地図作成ができ、必要であれば自爆もできるとのこと。IDFはまた、地下での活動のために特別に訓練された爆発物探知犬も使っています。

戦闘中に開口部をすばやく塞ぐためにIDFが開発したユニークなものの1つが、2種類の化学物質が入った袋だそうです。これらの物質を混ぜると粘度が高く、硬化の早い黄色い泡ができ、開口部を使えなくすることで、そこを通過し、近づいてきた誰かに背後から撃たれることを心配しなくて良いという利点があります。

地下戦の訓練を受けた部隊(主にサムールや精鋭の特殊部隊サイェレット・マトカル)がトンネルに潜れば、サムールは地中レーダーやその他のセンサーを使って、地上からは感知できないトンネル網の深い部分の地図作成を試みることができるそうです。

Saturday, November 4, 2023

米国ではミリオネアが増えている?

本年10月、米連邦準備制度理事会(FRB)は、米国の世帯が保有する平均純資産が2022年に初めて100万ドル(約1億5000万円)を突破したと発表しました。2019年の74万9000ドルから42%の大幅増となります。

これは、米国ではミリオネアが増えているということです。米国の約1600万世帯(12%強)が100万ドル超の資産を保有し、19年の980万世帯から増えています。また200万ドル超の資産を持つミリオネアは800万世帯近くあり、19年の470万世帯から増加しています。

ここで興味深いことは、100万ドル超の資産を保有するミリオネアは年収が15万~25万ドル(約2200万~3700万円)で、通常は富裕層ではなくアッパーミドルクラスと考えられている人たちです。

ビリオネア(資産10億ドル以上の富豪)が米経済の富を手中に収める中、ミリオネアたちは取り残されるどころか、過去3年間で上位10%の世帯よりも大きな富の増加を経験しているようです。

これら世帯の90%以上が直接または年金口座を通じて株式を保有し、87%は家を所有しています。

ミリオネアの資産は、不動産や株式、債券、銀行口座、年金口座、暗号資産(仮想通貨)であり、負債は、住宅ローンや自動車ローン、クレジットカード債務、学生ローンのようです。

米国の経済は、確実にアッパーミドルクラスが拡大しています。大学で学位を取得し、年金口座にコツコツ貯金し、住宅を購入するなど、時間をかけて裕福になっています。このことは、35歳未満の世帯のうちミリオネアはわずか1%ですが、55~64歳の世帯では21%がミリオネアであることが証明しています。



イスラエル・ハマス戦争:ロシア、中国を有利に?

イスラエルとハマスの戦争は、世界のパワーバランスに影響を及ぼしているようです。米国が軍事的資源を使いまくっていることは、ロシアに対する圧力を和らげています。中国にも新たな機会を与えるものです。

10月7日のハマスのイスラエルのテロ攻撃で始まったこの戦争は、今や世界の注目がガザの人道的支援に焦点が当てられており、イスラエルを支持する西側諸国の世界的な地位が変わりつつあります。

中国やロシア・イランは、西側諸国主導で作られた国際システムの弱体化を目指しており、今回の戦争を利用して、米国の関心分野が分散される状況につけ込んでいます。

シアが批判する西側諸国のウクライナとガザのダブルスタンダードは、反論するのが難しい状況になりつつあります。西側諸国はロシアによるウクライナ民間人の大虐殺を厳しく非難してきましたが、ガザでのイスラエルの行動に対しては、批判するとしても穏やかなものにとどまっているからです。そして、ロシアは、ロシアが行なっている殺戮行為を正当化しようとしています。

イスラエル・ガザ戦争は、ロシアにとって有利に働いているというわけです。イスラエル・ガザ戦争が長引けば長引くほど、世の中のロシア・ウクライナ戦争への関心が薄れ、ガザの人道状況が悪くなればなるほど、西側諸国のロシアへの批判をかわすことができるでしょう。

中国は、ハマスのイスラエルの攻撃で中国人が4人殺され、3人が今でも人質に取られているにもかかわらず、その攻撃をテロ攻撃と呼んでません。中国はウイグル自治区のウイグル人を弾圧する際、何度もテロと戦う必要性を主張してきたことと対照的です。

中国にとり、米国が中東問題に関心が集中し、アジア太平洋に関心が行かなくなることを好都合です。米国の影響力とイメージが損なわれることは中国の利益となるでしょう。中国を米国に代わる選択肢、より魅力的な選択肢として開発途上国に売り込むことができるかもしれません。

しかし、中国はまだ、イスラエル・ガザ戦争への軍事力などを背景とする影響力は持っていないのが、米国との大きな差でしょうか。

イスラエル・ハマス戦争は、インドにも悪影響を与えています。本年9月、米国とインドは、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、ヨルダン、イスラエルを経由してインド、中東、欧州をつなぐ「経済回廊構想」を発表しています。これは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗するものです。しかし、イスラエル・ハマス戦争により、この計画の重要な要素であるイスラエルとサウジの国交正常化交渉が頓挫したため、「経済回廊構想」の先行きは不透明になっています。

イスラエル・ハマス戦争により、地域的な緊張の高まりや、ウクライナに対する関心の低下に加え、エネルギー危機を引き起こし、中東がロシア産石油・ガスの代替手段として機能しなくなる可能性もあるかもしれません。

そして、米国がイスラエルとウクライナを支援しつつ、台湾への関与も維持できるのかが注目されています。

米国の諜報機関は大丈夫?

2001年9月11日の同時多発テロ以降、米国の情報機関は、イスラム組織ハマスを含む攻撃的なパレスチナのグループに対する諜報活動を事実上停止していたようです。彼らは、国際テロ組織アルカイダなどの指導者らを追うことにリソースを集中させた他、ハマスが米国にとって直接的な脅威になったことはないと判断していたそうです。その判断は正しかったのでしょうか。

10月7日、ハマスは襲撃でイスラエル側の国境警備を突破し、1400人以上を殺害しました。米国民は30人以上死亡、10人が行方不明となりました。地域全体を巻き込む戦争となる懸念が高まっています。

CIAを中心とする米情報機関に所属するごく一握りの分析員は、7日の攻撃前にガザ地区の情勢を追っていたが、ハマス内に実際に入り込み、盗聴技術で同組織を監視することに関しては、イスラエル側に依存していたそうです。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、今回の安全保障面の失敗はイスラエル国防省や情報機関に責任があると述べました。

ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)はハマスによる攻撃の直前に、「中東は依然として長年続く課題を抱えているものの、同地域はここ数十年来で最も落ち着いた状況にある」と外交誌フォーリン・アフェアーズで述べていました。 


Thursday, October 26, 2023

米下院、議長にジョンソン氏選出 

10月25日、アメリカの議会下院で、マイク・ジョンソン議員(51、共和党)が下院議長に選ばれました。賛成220票、反対209票の賛成多数で決定され、今月3日以降不在となっていた議長ポストがようやく埋まることになりました。

前議長の解任から約3週間にわたった議会の混乱と共和党の内紛が、ようやく終わったようです。ジョンソン氏は2016年から、ルイジアナ州の選挙区選出の下院議員を務めています。研究委員会の委員長を務めました。穏やかな物腰の保守派の弁護士で、ラジオの司会者を務めています。この日の議長選では、過半数の220票を獲得した。

下院では10月3日、マッカーシー氏が議長を解任され、後任選びが進められていましたが、選出は難航。4人目の候補でやっと決着しました。

ジョンソン氏の選出は、ドナルド・トランプ前大統領寄りの共和党右派にとっての勝利となります。党内穏健派も候補を立ててきましたが、支持を広げられませんでした。

投票後に下院本会議場で演説したジョンソン氏は、「われわれは今、異常な危機の中におり、世界はわれわれが強くあることを求めている。混乱と暴力が中東地域と東ヨーロッパを揺るがし、インド太平洋地域でも緊張が続いている。揺らいではならない」と述べ結束を訴えました。そして「私はまもなくこの議場に最初の議案を提出する。それは友人であるイスラエルを支持するためのものだ」と述べ、下院としてイスラエル支持を明確にする決議案を提出する考えを示しました。その他、議長としての主な優先事項として、国境警備、インフレ、中東での紛争を列挙しました。

ジョンソン氏は、中絶の権利や同性婚に反対するなど、多くの問題で断固として保守的な立場を取っています。ウクライナをめぐっては、党内の右派の多くと同様、さらなる支援に反対しています。

ジョンソン氏は、2020年大統領選でのトランプ氏の敗北をめぐって、選挙結果を法的に争った中心人物の一人でした。

下院の勢力は共和党221、民主党212となっており、法案採決において造反はほとんど許されない状況にあります。

Sunday, October 8, 2023

イスラエル・パレスチナ武装勢力間の衝突

イスラム組織ハマスが10月7日の大規模攻撃で狙ったのは、イスラエルだけではないようです。この地域では、米国がイスラエルとサウジアラビアの関係正常化を後押しするなど新たな安全保障秩序の構築に向けた動きが活発化しており、ハマスにはパレスチナ国家樹立への希望を脅かしかねないこうした動きにくさびを打ち込む狙いがあったとみられています。ハマスを支援するイランも、警戒感を強めていました。

米国は、サウジとの防衛条約締結などを見返りにサウジとイスラエルの国交正常化を進めています。

パレスチナ当局者によると、イスラエルを攻撃しハマスの武装集団のメッセージは、イスラエルが安全保障を望むならばパレスチナ人を無視してはならず、サウジアラビアとのいかなる合意もイランとの緊張緩和が崩れることになる、というものです。

ハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏は、カタールを拠点とするテレビ局アルジャジーラで、アラブの国がイスラエルとの間で結ぶ正常化の合意により、この衝突が終わることはないと述べました。

イスラエルにすり寄りつつあるサウジアラビアや、イスラエルを支援して正常化を後押ししている米国に対するメッセージでしょうか。

イスラエルの占領下にあるヨルダン川西岸では今回の大規模攻撃の数カ月前から、イスラエル側の取り締まり強化、パレスチナ市街地での攻撃、パレスチナ人集落へのユダヤ人入植者の襲撃など、暴力が激化していました。ネタニヤフ首相が率いる強硬右派政権の下でパレスチナ人が置かれた環境は悪化し、和平への努力は何年も停滞しています。

一方で、サウジアラビア側は米国との防衛条約締結に強い決意を持っており、パレスチナ人に有利な譲歩を引き出すために正常化の合意を遅らせることはないと思われます。

レバノンにおけるハマスの指導者、オサマ・ハムダン氏は、10月7日の大規模攻撃により、イスラエル側の安全保障上の要求を受け入れることで平和が実現することはないとアラブ諸国は理解すべきだ、と述べたようです。

10月7日に行われたハマスによる攻撃は、イスラエルがエジプトとシリアから攻撃を受けた1973年の第四次中東戦争の開始から50年の節目に行われました。

1973年以降、エジプトとイスラエルは平和条約を結び、複数ののアラブ諸国もイスラエルとの関係を正常化させました。しかし、パレスチナ人は国家樹立の夢はむしろ遠のいています。

ハマスの行動は、パレスチナの問題は国交正常化交渉の中のサブトピックの1つとして扱われるべきではないということをサウジアラビア側に明確に示したのでしょうか。

ネタニヤフ首相は以前、イスラエルとアラブ諸国の和平合意について、パレスチナに拒否権を持たせるべきではないと述べていました。

一方のイランは、パレスチナ人による自衛の行動だと表明。最高指導者ハメネイ師の顧問は、イラン政府は「パレスチナとエルサレムが開放されるまで」パレスチナの武装勢力と共にあり続けると述べました。

イランは中東一帯で数々の武装勢力を支援しており、ガザのほかレバノンやリア、イラク、イエメンで存在感を高めています。

イエメンの親イラン武装組織フーシ派は先週、サウジアラビアとの国境沿いにバーレーン軍兵士を攻撃して4人を殺害しました。

今回のパレスチナ武装勢力の攻撃は、米国とサウジアラビア、イスラエルの間で画期的な合意が成立するのを阻止する狙いがあったのかもしれません。

先週のアメリカの経済

先週末、米株式相場は反発しました。S&P500種株価指数は週間ベースでは5週間ぶりの上昇となりました。

9月雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回る伸びとなり、米金融当局による追加利上げの論拠を強める格好となりました。

9月の雇用統計はリセッションを予想する声と整合しているとの指摘もあります。非農業部門雇用者数の伸びについて現時点で米経済には明るいニュースですが、市場と金融当局にとってはそれほど良いニュースではないかもしれません。

米国債利回りは雇用統計発表直後に急伸しています。10年債利回りは一時17ベーシスポイント上昇の4.89%、30年債の利回りは一時16bp上昇の5.05%と、それぞれ2007年以来の高水準に達しました。10年債利回りと30年債利回りは週間ベースではともに20pを超える上昇と、昨年12月以来の大幅高となりました。それに比べると短期債利回りの上昇は限定的でした。先物トレーダーは連邦公開市場委員会(FOMC)が12月会合で政策金利を0.25ポイント引き上げる確率を50%強とみています。11月は利上げ見送りの可能性が高いとみられています。

ドルは、雇用統計発表直後は力強く上昇しましたが、国債利回りが伸び悩むと失速し、下げに転じました。主要10通貨では円が唯一、対ドルで下落。一時は149円53銭まで売られました。

金利市場の反応が年内追加利上げ観測の高まりというより、主として利下げ観測の後退に集中した感じです。

先週、ニューヨーク原油先物相場は反発しました。ただし、週間では9%下げ、3月以来の大幅安となりました。追加利上げの可能性が金融市場を混乱させ、現物市場でのタイトな状況を打ち消す格好となりました。

追加利上げや金利高止まりへの懸念が強まっていることが、最近の原油安の背景にあるようです。同時に、テクニカルな売りやアルゴリズムに基づいた取引も下げにつながりました。

ニューヨーク金相場は反発しました。米雇用者数が予想を大幅に上回り、米国債利回りが上昇したため金は一時下げたものの、上げに転じました。

Tuesday, October 3, 2023

アメリカ連邦議会下院議長、解任される

10月3日(火)、アメリカ連邦議会下院でケビン・マッカーシー議長(カリフォルニア州選出)の解任動議が一部の共和党議員も賛成して可決され、史上初めて議長が解任されました。

マッカーシー議長は政府機関の閉鎖を避けるため、民主党にも配慮した「つなぎ予算案」をまとめましたが、身内の共和党の保守強硬派、ゲーツ議員が大幅な歳出削減が盛り込まれなかったことに反発し、解任動議を提出。民主党に加え、共和党の保守強硬派の議員らも賛成に回り、動議は可決されました。

最終的には216対210で、議会内のすべての民主党議員と8人の共和党議員がマッカーシー議長の解任動議に賛成票を投じました。

マッカーシー議長解任投票の直後、パトリック・マクヘンリー下院議員(ノースカロライナ州選出)が臨時議長に指名されました。

来週10月10日(火)に下院議長選出のための会合を開く見込みです。マッカーシー前議長は、次の下院議長選には再出馬しないと述べています。下院は、新議長を選出するまで通常の運営を再開することはできないそうです。

マッカーシ議長解任動議に賛成票を投じた共和党下院議員は、①マット・ゲーツ(フロリダ州)、②アンディ・ビッグス(アリゾナ州)、③ケン・バック(コロラド州)、④ティム・バーチェット(テネシー州)、⑤イーライ・クレイン(アリゾナ州)、⑥ボブ・グッド(ヴァージニア州)、⑦ナンシー・メイス(サウスカロライナ州)、⑧マット・ローゼンデール(モンタナ州)の8名の議員です。

投票後、共和党の議長候補としては、ジム・ジョーダン下院議員(オハイオ州選出)、スティーブ・スカリス下院院内総務(ルイジアナ州選出)、トム・エマー下院院内総務(ミネソタ州選出)、ケビン・ハーン下院議員(オクラホマ州選出)などが挙げられています。

マッカーシーの議長職解任に賛成した8人の共和党議員は、主に彼の財政問題への対応と暫定予算法案への怒りを理由に挙げています。

パトリック・マクヘンリー臨時議長には、選挙で選ばれた下院議長のすべての権限が与えられています。マッカーシー前下院議長は、本年1月に議長に選出された際、マクヘンリー議員(ノースカロライナ州選出)を臨時議長の役割に抜擢していました。臨時議長は、議長が解任されるか無能力になるまで、下院事務局によって秘匿され、2001年9月11日以降、政府の継続性を確保するために考案されたプロセスです。

下院議長が退任させられた後、一時的な交代プロセスが実施されたのは今回が初めてです。マクヘンリー臨時下院議長は「代理」であるため、大統領職の継承権はありません。

マクヘンリー臨時議長はマッカーシー前議長の盟友であり、本年1月には下院共和党の各派閥との重要な交渉役を務め、マッカーシー議員が議長になるための票を得るための取引を仲介しました。また、マッカーシー議長とジョー・バイデン大統領との債務上限取り決めでも中心的な役割を果たしました。

長年のマッカーシー前議長の盟友であるマクヘンリー臨時議長は、下院を休会させ、各会派が会合を開き、今後の道筋を練ることを許可しました。

今月末に48歳になるマクヘンリー臨時議長は、ノースカロライナ州第10選挙区で10期目を務めています。ノースカロライナ州シャーロット周辺で育ちました。ノースカロライナ州立大学を経て、シャーロットのすぐ西にある小さなカトリック校、ベルモント・アビー・カレッジを卒業。大学在学中の1998年、州下院議員選挙に出馬して落選しました。マクヘンリーはワシントンを拠点とするメディア・コンサルティング会社、ジョージ・W・ブッシュの2000年大統領選挙キャンペーン、米労働長官の特別補佐官として働いた経験があります。2002年に州下院議員に27歳で当選しました。2004年に連邦下院議員に初当選し、下院金融サービス委員会の委員長を務めました。




Sunday, October 1, 2023

米連邦議会上下両院で「つなぎ予算」可決、バイデン大統領が署名し成立

9月30日夜、米議会上下両院は、10月1日から45日間の予算執行を可能にする「つなぎ予算」案を可決しました。共和党のマッカーシー下院議長が、同党のみで投票すべきとする党内強硬派の主張を退け、民主党の圧倒的な支持を含む超党派の賛成で成立することとなりました。連邦政府機関の閉鎖が確実な情勢でしたが、土壇場で回避できました。

法案は11月17日までの暫定予算。下院が335対91で、上院が88対9で可決し、その後バイデン大統領が署名し成立しました。

予算が通らず、4回目となる連邦政府機関の閉鎖は確実とみられていました。閉鎖されると、政府職員400万人のほとんどが無給となり、国立公園から金融規制当局まで、さまざまな連邦政府サービスが停止することになっていました。

下院でつなぎ予算を支持した民主党議員は209人と共和党の126人を大幅に上回りました。

ただ、ウクライナ支援が除外されたことは、少なくとも当面、ゼレンスキー大統領にとっては痛手です。ゼレンスキー大統領は先週、バイデン米大統領や議員らと会談し、F16戦闘機や、長距離ミサイルシステム「ATACMS」など、新たな兵器システムの供与を要求していました。

バイデン大統領は「ウクライナに対する米国の支援が中断されることは、いかなる状況においても許されない」と述べ、マッカーシー下院議長がウクライナ支援策を別途可決することを約束したと付け加えました。

しかし、アメリカの新会計年度が始まる10月1日までにアメリカ連邦議会が新たな歳出法案について共和・民主両党が合意に至らなければ、連邦政府の多くの部分が閉鎖を余儀なくされところでした。アメリカの連邦議会は、会計年度ごとに新たな予算案を可決しなければいけません。

いわゆる、この「つなぎ予算」が成立しなければ何が起きていたのでしょうか。
議会が予算案で合意できなければ、ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)トップが連邦政府全体に、閉鎖を開始せよという指示を出すことになっていました。

(政府機関への影響)
軍と法執行機関の制服組は任務を継続するようです。各機関が過去に公表した政府閉鎖を巡る計画によれば、国土安全保障省など一部の機関では多くの職員が出勤し続ける可能性が高く、例えば商務省では大半の職員が帰宅を命じられます。

ただし、ホワイトハウスはかなり広範な裁量を持ち、職員を仕事に呼び出したり、自宅で待機させたりすることができるそうです。

出勤にせよ自宅待機にせよ、政府機関の閉鎖中、約450万人いる連邦職員は誰も給与を受け取れません。2019年に成立した法律に基づき、政府機関の再開後、職員に対する未払い賃金が補償されます。
必要不可欠な政府サービスの多くは、閉鎖中も継続されます。米国債の元利払いは行われます。社会保障制度の給付金小切手は配送されるし、郵便物も届けられます。

その他の日常的な政府業務、例えば、一部の食品検査や中小企業への融資承認などは、一時的に停止する可能性があります。

(政府の請負業者への影響)
政府職員と政府の請負業者は、最も深刻な影響を受ける可能性がある。2019年には一部の公務員が請求書の支払いに窮するケースが発生し、連邦政府と契約を結ぶ業者は請求書が処理されなかったり、政府の建物から閉め出されたりした。政府職員と異なり、請負業者は閉鎖中に失った仕事の報酬を補償されないようです。

(旅行者への影響)
旅行者が足止めされることはありませんが、遅れや混乱に直面する可能性はあるようです。2019年の政府閉鎖中には、運輸保安局(TSA)の多くの職員が給与の支払い停止を受け、出勤を取りやめました。その結果、全米各地の空港で待ち時間が長くなる事態となりました。少数の航空管制官が一部の空港で「病欠」したことにより、航空交通に障害が起きたこともあります。たとえ短い閉鎖であっても新人管制官の研修が中断され、人員不足解消の取り組みが大きく後退しかねないようです。

米国入国者をチェックする税関・国境警備局(CBP)では、2022年に公表された政府閉鎖を巡る計画によると、大半の職員が引き続き業務にあたる見込みのようです。

(国立公園・国立博物館)
政府機関閉鎖が数日以上にわたり続く場合、多くの国立公園や博物館は閉鎖するか運営業務を縮小する公算が大きいとのこと。詳細は公園ごとに異なる可能性があります。

(学生ローンの返済)
政府が提供する連邦学生ローンの返済猶予措置が終わり、借り手は10月1日から返済を再開することになりますが、それが政府機関閉鎖の開始と重なる可能性がありました。それでも借り手は返済を行う必要があります。

(経済への影響)
米政府支出は国内総生産(GDP)の約4分の1を占めています。突然その支出が鈍化すれば、またそれが数週間続くとなればなおさら、経済に目に見える影響を及ぼす可能性があります。
一部の資産によれば、政府閉鎖によってGDP成長率が年率換算で毎週0.2ポイントずつ押し下げられると予想。2019年に5週間続いた一部閉鎖の後、米議会予算局(CBO)は経済損失が約110億ドル(現在のレートで約1兆6000億円)生じたと推計。このうち30億ドルは取り戻せないとのことです。同年の場合、一部機関はすでに予算を確保していたため、業務を停止しなくてもすみました。

以上が、つなぎ予算が成立しなかった場合の影響です。

連邦政府の閉鎖は、上下両院が10月1日の会計年度開始前に承認しなくてはならない政府支出のうち、約30%について合意できない場合に起きることになっていました。今回のつなぎ予算成立で、少なくとも今回は連邦政府の閉鎖は免れました。しかし、この法案は11月17日までの暫定予算です。こうした騒ぎは、つなぎ予算の期限が切れる45日後に再び繰り返される可能性が高いでしょう。共和党と民主党、そして共和党内部で、政府支出の程度や政策をめぐる根本的な意見の相違が解消されていないからです。

短期的法案の可決のために民主党票に頼るというマカーシー連邦下院議長の決断は、強硬右派が下院で反乱を起こすきっかけになる可能性があります。マカーシー議長を指導者の座から排除しようとする強硬派が、今後いわゆる「立ち退き動議」を提出するかどうかが注目されます。

マカーシー議長は9月30日の記者会見で、自身に反発する議員に対し、「議会には大人がいるはずなので」、「私に対して動議を出したいなら、そうすればいい」と挑戦的に述べました。

米経済はすでに高い金利や自動車労働者のストライキ、連邦学生ローンの返済再開などを背景に、秋に入って不透明感に覆われています。どうなるのでしょうか。

アメリカの大学は高い!:デューク大学1年目秋学期の費用(4万5,900.40ドル)

次女は、本年(2023年)8月からノースカロライナ州ダーラムにあるデューク大学に通っています。

アメリカの大学の授業料は高額で有名ですが、デューク大学はどうでしょうか。


授業料や寮費等をしたためてみます。

⚫️デューク大学1年生 秋学期分費用

・授業料:$3万1,725ドル

・寮費:4,942ドル

・食費:4,247ドル

・健康保険料:3,282.12ドル

・ヘルス費:472.50ドル

・リクリエーション費:180ドル

・学生活動費:149ドル

・学生サービス費:376ドル

・初期登録料:180ドル

・ノースカロライナ州税(寮費分):250.28ドル

・ノースカロライナ州税(食費分):68.25ドル

・レジデンシャル・プログラム費:55.25ドル

・デューク・メール・ボックス費:38ドル

計4万5,990.40ドル(秋学期分)


なんと,半年分で4万5,990.40ドルです。


春学期分も同じくらいの額だとすると,日本円で軽く1200万円を超えてしまいます。


長女が受けたアメリカの大学の奨学金と学生ローン

長女は、現在アメリカの大学の4年生。

大学1年生のときから、返済不要の奨学金を受けています。

その額の変遷を記そうと思います。

⭕️長女が受けたアメリカの大学の返済不要の奨学金

・大学1年:1万5,400ドル

・大学2年:3万5,400ドル

・大学3年:3万5,700ドル

・大学4年:5万3,200ドル(見込み)

合計:13万9,700ドル

こう見ると、長女の大学での評価がよかったのか、年々、親の負担は減っています。今年に限って言えば、次女も大学生になったことが大きく考慮されていると思います。


次に、長女の連邦政府から受けた学生ローンを書きます。これは長女は社会人になって返済するものですが、連邦政府からのローンである限り、「年収の数パーセントの返済」という条件になっているようで、日本の学生ローンのように大きな負担になることはないようです。年収が低ければ返済する額も少なくて済むからです。気をつけなければならないことは、連邦政府以外から、たとえば民間の銀行から借りた場合は、将来返済が大変になるとよく聞きます。なぜなら、年収を問わず、毎年(毎月)返済する額は同じだからです。

⭕️長女が受けたアメリカの大学の学生ローン

・大学1年:1万1,402ドル

・大学2年:1万0,392ドル

・大学3年:5,442ドル

・大学4年:5,442ドル(見込み)

合計:3万2,678ドル

長女が受けた学生ローンは合計3万2,678ドルとなる見込みです。これなら返せない額ではありません。あえて日本円で換算しましたが、長女はアメリカ人でアメリカで就職し、稼いだドルの給料から返済するので、日本円に換算する意味はあまりないでしょう。

長女のこれまでの頑張りを考えると、この額なら、親が卒業祝いに払ってあげたいと思っています。