Monday, November 6, 2023

イスラエル国防軍IDFの地下戦闘部隊

ハマスは、ガザ地区の地下にトンネル網を張り巡らせているといいます。そのトンネルは、決して広くはなく、訓練された兵士出なければ、酸欠になるとも言われています。特殊訓練を受けたイスラエル軍の地下戦闘部隊は、呼吸マスクや赤外線ゴーグルなどを装備してトンネル網に入るようです。

トンネルでは、弾丸ですら、爆風の圧力が増幅されるそうです。発射で鼓膜が破れたり鼻血が出たりするとのこと。そのため、兵士らは防護用の無線ヘッドセットをつけ、発射音や閃光を抑えるサプレッサー装置と重く遅い弾丸を装備したライフルを携行しています。

時間の感覚がなくなり、方向感覚を失うこともあり、本当にパニックになることもあるようです。

イスラエル国防軍は、IDFは地中貫通爆弾の威力がおよばない深さ約70mにもおよぶガザの地下でハマスに挑むことになります。

地下戦は、2014年のガザ侵攻以来、特殊な装備とテクノロジーを用いるIDFは、地下戦とトンネル解体を専門とするサムールと呼ばれる特殊部隊の規模を3倍に拡大してきました。

2016年以降、米議会は地下トンネルの探知や地図作成、無力化に関する米・イスラエル防衛協力に3億2000万ドル(約48億円)の予算を承認しています。

イスラエルが2005年にガザ地区から撤退して以来、ハマスが構築した立体的な地下施設にある通路の長さは数百kmにもおよぶと考えられています。通路は地下の司令部や貯蔵庫、兵舎、出口を結んでおり、この出口を使ってハマスはイスラエルにロケット弾を撃ち込んだり、IDFの地上部隊を待ち伏せしたりするために不意に地上に現れ、その後地下に消えたりするそうです。

ハマスはこの10年間、鉄筋入りの半円型のコンクリートでトンネルを補強し、爆撃にも耐えられるようにしてきたようです。

あちこちに換気シャフトが設置され、照明などの電力は地上の送電網と地下の発電機からとっています。ハマスが備蓄している食料や水、燃料は3〜4カ月分と言われています。

通路が交差する部分や部屋への出入り口は、コンクリートにはめ込まれた厚さ2.5〜5cmの金属製のドアで塞がれていることが多く、これを破るには技術を要するそうです。

したがって、トンネルの中に部隊を送り込むのは最後の手段だと言われています。ハマスが爆弾や仕かけ爆弾をばら撒いていると考えられているからです。トンネルが小さいため、IDFは地上のように兵士の数と火力支援の優位性を生かせず、地下での交戦は一騎打ちとなります。

IDFはまず、空からハマスの地下網を攻撃しました。10月7日に始まった大規模な空爆は、建物の中に隠されていることが多いトンネルの入口や浅い部分を標的にしたとみられています。

ロボットや小型ドローンの投入もあり得るかもしれません。その一つがイスラエル企業ロボチームが開発した監視ロボットIRISです。遠隔から操作できる4輪走行のIRISは重さ1.6kg。同じくイスラエル企業のエルビット・システムズは昨年、ラニウスという名称の小型の自律型ドローンを発表しました。同社によると、屋内空間の地図作成ができ、必要であれば自爆もできるとのこと。IDFはまた、地下での活動のために特別に訓練された爆発物探知犬も使っています。

戦闘中に開口部をすばやく塞ぐためにIDFが開発したユニークなものの1つが、2種類の化学物質が入った袋だそうです。これらの物質を混ぜると粘度が高く、硬化の早い黄色い泡ができ、開口部を使えなくすることで、そこを通過し、近づいてきた誰かに背後から撃たれることを心配しなくて良いという利点があります。

地下戦の訓練を受けた部隊(主にサムールや精鋭の特殊部隊サイェレット・マトカル)がトンネルに潜れば、サムールは地中レーダーやその他のセンサーを使って、地上からは感知できないトンネル網の深い部分の地図作成を試みることができるそうです。

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