Sunday, January 9, 2022

アメリカの雇用状況(昨年12月)

1月7日、米労働省が昨年12月の雇用統計を発表しました。

昨年12月の非農業部門雇用者数は前月比19万9千人増と、市場予想の44万人増を大きく下回りました。失業率は22カ月ぶりの低水準となる3.9%と、前月(昨年11月)の4.2%から改善し、労働市場がタイトな状態になっていることが示されました。市場予想は4.1%でした。

昨年11月の雇用者数の増加幅は当初発表の21万人から24万9千人へ上方改定。2021年通年での増加幅は640万人と、1939年の統計開始以降で最大となり、好調な回復基調を示唆しています。

しかし、雇用者数は依然として2020年2月のピークを360万人下回っています。

人手不足が原因で、米労働市場は年末にかけ若干失速した可能性がありますが、まだ持ちこたえている感じです。1月の統計は低迷する可能性があり、その後数カ月は、現在の新型コロナ感染の波に左右されるでしょう。

12月の雇用者数が伸び悩んだのは、雇用側の需要不足だけでなく、労働者不足も一因だったかもしれません。雇用統計の悪化は、経済が予想以上に好調であることを示すという奇妙な状況に陥っていて、賃金と物価が上昇し続け、FRBが利上げに踏み切ることを示唆しています。12月の失業率が米連邦準備理事会(FRB)の長期予測である4%を下回ったことで、一部のエコノミストの間では3月にも利上げが始まるという観測が高まっています。雇用者数の伸びは期待外れだったが、労働市場のタイトな状況をうかがわせ、早ければ3月の米利上げを後押しする可能性があるということです。もちろん、オミクロン変異株により2月の雇用統計が悪化すれば、利上げは5月に先送りされる可能性はあります。

インフレが加速する中での失業率低下や賃金の伸び加速は、より速いペースでの金融政策引き締めを正当化する可能性があります。金融政策引き締めが行われると金利が上がります。なぜなら、金融政策の引き締めは、公開市場操作や預金準備率を操作するなどの方法で、短期金融市場に流れるお金を減らすため、それによって金利を上昇されるからです。金利が上昇すれば企業の借り入れも減り、景気の過熱を抑えることにつながります。

昨年12月の統計は業種別で、レジャー・接客が5万3千人増、専門職・企業サービスが4万3千人増、製造業が2万6千人増、建設業が2万2千人増でした。輸送・倉庫業なども増加しました。
しかし、小売は減少しました。政府部門も1万2千人減少しています。
家計調査に基づくと、12月は16万8千人が労働市場に参入。労働参加率は前月から横ばいの61.9%で、コロナ禍前の63%を引き続き下回っています。人口に占める雇用者の比率は59.5%と、昨年11月の59.3%から上昇。

労働市場の逼迫を反映し、時間当たり平均賃金は前月比0.6%上昇と、昨年11月の0.4%上昇から伸びが加速。しかし、前年同月比では4.7%上昇と、5.1%上昇から鈍化しています。平均週間労働時間は横ばいの34.7時間でした。

アメリカ労働省が1月4日に発表した昨年11月の雇用動態調査(JOLTS)は自発的な離職件数が過去最大、求人件数の高止まりを示し、深刻な人手不足の状況を浮き彫りにしています。

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