次女は、現在、アメリカの高校の最終学年であるシニアです。私立高校で寮生活をしています。いわゆるボーディングスクールに通っています。
アメリカの大学には各大学の筆記試験というものはなく、第三者の会社が経営するCommon Appという共通のアプリケーションに必要項目を記入して、提出はボタンを押すだけです。このCommon Appには全米で1000近い大学が加盟しています。アイビーリーグはもちろんのこと、巷で聞くほとんどの大学が入っています。入っていない大学で有名なのは、UCスクールとGeorgetown大学くらいです。
さて、Common Appの必要項目にはSATやACTの成績を記入する箇所があります。
このSATやACTは、共通の試験ではありますが、高校一年生の時から、何度も受けられる類のもので、日本の大学入試センター試験のような一発試験とは違います。
そもそもSATとはScholastic Assessment Testの略称、ACTとはAmerican College Testの略称で、非営利機関であるカレッジボード(College Board)が運営している、アメリカの大学進学に必要な大学進学用の標準テスト(Standardized Test)です。
以下、比較です。
⭕️テスト科目
SAT:Reading, Writing, Math, Essay (optional)
ACT:English, Reading, Math, Science, Essay (optional)
⭕️テスト内容
SAT:Readingは5つの長文読解問題(5択)、Mathは計算機が使用できない問題も出題、ReadingはMathのセクションでサイエンス系のデータ分析などの問題が出題。
ACT:Readingは4つの長文読解問題(4択)、Mathは全ての問題で計算機の使用ができる、Scienceは科学に関した文章やグラフを読み取り、分析する問題が出題。
⭕️テスト時間
SAT:3時間(エッセイなし)、3時間50分(エッセイあり)
ACT:2時間55分(エッセイなし)、3時間35分(エッセイあり)
⭕️受験できる回数
SAT:無制限
ACT:12回まで
⭕️スコア
SAT:400から1600満点
ACT:1から36満点
次女は、長女がACTを受けたので、同じACTを受けました。
ACTの内訳は、英語75問(45分)、数学60問(60分)、読解40問(35分)、科学40問(35分)です。
英語は、文法、語彙、表現などが問われます。カンマやコロンの正しい使い方なども問題になります。数学はアメリカの高校2年生までに習う代数・幾何が問われます。電卓の使用が許可されています。読解は4つの文章(人文科学、社会科学、自然科学、フィクション)を読んで、それぞれについて10の設問に答えます。科学は生物学、化学、物理学、地学、宇宙科学の分野における、データの分析、実験の手法や評価などが問われます。問題数は40問、テスト時間は35分間のため、科学データを素早く正確に読み理解することが必要となります。
大学の合否基準として多くの大学で使われてきましたが、最近の傾向として、SATやACTのスコアの提出は自由という流れになっています。例えば、アイビーリーグの一つであるコロンビア大学は、SAT/ACTのスコア提出を選択制にすることを永久に導入すると発表しました。アメリカでは数年前からSAT/ACTのスコア提出を求めない大学が増えており、来年(2024年)の入学審査でも、アイビーリーグ、スタンフォード大学、ノースウェスタン大学、ボストン大学などの名門大学は試験選択制を維持すると発表しました。
テストスコアを求めない大学を増えたのは、コロナ感染症の中で生徒がテストを受験や再受験したり、そもそも試験に向けて準備することが困難になったことが理由の一つです。また、家庭教師を雇ったり試験対策クラスを受講する余裕がない家庭にとっては、SAT/ACTの受験のハードルは高いものでした。テストスコアだけでは志願者の能力や才能を判断することはできないと考える大学が増えたため、テストスコアの提出を求めない動きが広がっています。
ちなみに次女はACTを受け、36点満点中35点でした。