3月10日、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で投票が行われ、習近平国家主席が満票となる2952票を獲得、さらに5年間国家主席を務めることが決まりました。習近平国家主席の前例のない3期目続投を正式に承認され、これで1949年の中華人民共和国建国以来、最も長く国家元首を務める人物となります。
中国では国家主席はおおむね儀礼的な肩書きにとどまり、真の権力は党首や軍トップの地位にありますが、習氏は2018年、国家主席の2期10年の制限を撤廃し、10年の任期サイクルを超えて権力の座にとどまる地ならしを整えてきました。2022年10月の共産党大会で、習氏はこの二つの重要役職に慣例を破り3期目の再任を果たしています。習氏は、今回の決定で、正式な任期制限のない共産党トップの党総書記、人民解放軍トップの党中央軍事委員会主席と並び、三つのポストを無期限で兼務できる態勢が整い、習政権の次の10年に向けた移行が正式に完了した形です。
多くの専門家は、米中関係について悲観的な見方を一段と強めています。 習氏は今週、米国が中国の封じ込め政策を主導しているとして、異例の名指し批判を行いました。その翌日には秦剛外相が、米国が姿勢を変えなければ「確実に対立や衝突が起こる」とけん制しました。
中国では国家主席以外にも、中央政府に当たる国務院などで幅広い指導部の入れ替えが進んでおり、習氏による権力掌握は一段と強化されているようです。
国内における習氏の地位は、深刻な金融危機など破滅的な事態に陥らない限り、盤石なようです。
3月11日には、中国の新首相に元上海市トップで習近平国家主席に近い李強氏が全国人民代表大会(全人代)で、賛成2936票、反対3票、棄権8票で選出され就任しました。任期満了の李克強氏の後任で、習氏に次ぐナンバー2の地位に就きます。3年にわたる新型コロナウイルス規制で打撃を受けた経済の立て直しを担うことになります。
李強氏は中華人民共和国建国以来初めて、中央政府での経験を持たない首相となります。ただ、2004年から07年まで当時浙江省トップの共産党委員会書記だった習氏を側近として支えるなどした緊密な関係が職務遂行を後押しすると見られています。
従来、首相職は経済のかじ取りを担う要職でしたが、習氏はほぼ全ての意思決定を自らの手で行っており、首相の力はここ10年で大きく損なわれました。
3月10日の全人代では、趙楽際氏を全人代常務委員長に、韓正氏を国家副主席に充てるなどの重要人事も承認されました。
No comments:
Post a Comment