1月3日に始まった米連邦下院議長選挙は、5日に11回目の投票を行いましたが決着がつきませんでした。下院を僅差で制した共和党では、ごく一部の議員が同党トップのマッカーシー院内総務の議長就任を阻んでいます。
そして1月6日、12回目の投票を実施しましたが、党内の強硬派の一部から支持を得たものの、過半数を獲得するまでには至りませんでした。
1月5日の時点でマッカーシー院内総務の議長就任に反対する共和党議員は21人でしたが、1月6日に行われた、4日間で12回目となる投票では、そのうち14人の共和党員が賛成票を投じました。しかし、7人の共和党員が反対票を投じたため、議長選出に必要な過半数に3票足りず、13回目の投票に持ち越しとなりました。下院共和党は222議席を有していますので、マッカーシー院内総務が議長となるために失えるのは4票だけです。
反対する7人の共和党議員は下院共和党の10%以下です。保守強硬派の「ウルトラMAGA(米国を再び偉大に)」を掲げる議員連盟「フリーダム・コーカス」のメンバーの中でも半数以下です。
こうした強硬派もその要求は一つではありません。マッカーシー院内総務以外の人物に投票したいという議員、規則を変えたいという議員、政策面でこだわりを持つ議員がいるようです。例えば、債務上限の引き上げより政府機関の閉鎖を優先することが譲れない一線だと主張する議員もいます。
マッカーシー院内総務は現職議長の解任採決を求められる人数を、これまで共和党の半数としていたところ、1人にまで引き下げる規則変更を提案することに同意したとされます。
マッカーシー院内総務はまた、強力な権限を持つ下院規則委員会に、フリーダム・コーカスからより多くの議員が参加することを認めたようです。下院規則委員会は本会議にかける議案を決定するという意味で強力な委員会です。
反対議員が優先事項に挙げるいくつかの法案を採決にかけることにも同意した由です。これには委員の任期制限や国境保全の計画に関する提案が含まれている模様です。
マッカーシー院内総務が示した多くの譲歩を快く思っていないどころか苛立ちを隠さない穏健派議員は少なからずいます。議長の解任採決を要求できる人数を1人まで引き下げれば、債務上限や予算などの項目で統治がほとんど不可能になるでしょう。
連邦下院議長の選出には特定の人物に投票した議員の過半数の獲得が必要です。棄権や特定の人物に投票しない「出席」の票がない場合、その票数は218となります。
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