Monday, April 4, 2022

ワシントンDCの桜と歴代アメリカ大統領夫人

日本から贈られた3020本の桜は、シアトル経由で1912年3月26日に無事ワシントンDCにつきました。

1912年3月27日に、ポトマック河畔でタフト大統領夫人と珍田いわ駐米大使夫人が、2本の桜を植樹しました。この植樹式にはシドモア女史も陪席しています。

その後、日本から送られたワシントンDCの桜は、歴代大統領夫人と深い関わりを持つことになります。

1914年5月7日、ウッドロウ・ウィルソン大統領の三女エレノアとウィリアム・マカドゥー財務長官がホワイトハウスの「ブルールーム」で結婚式を挙げました。その際、エレン・ウイルソン大統領夫人は、ポトマック河畔の桜の花と白色のリリー、そしてドッグウッドの花でブルールームを飾りました。


フローレンス・ハーディング大統領夫人は、ホワイトハスの庭に桜の木を植えるよう庭師に指示しました。春には、桜の花でホワイトハウスの部屋を装飾したようです。

その40年後、ジャクリーン・ケネディ大統領夫人は、よく、その桜の木からとった桜の花でブーケを作らせたそうです。



1934年、DC市が3日間の桜祭りを主催しました。この桜祭りは、エレノア・ルーズベルト大統領夫人が積極的に関与したそうです。1934年4月19日午前6時、1912年にタフト大統領夫人と珍田大使夫人が植樹した最初の2本の桜の木の間で、ルーズベルト大統領夫人は、日本大使館関係者、桜の女王、ヘンリー・ルーズベルト海軍次官補の娘とともに「日の出式 (a 6:00am sunrise ceremony)」を開いたそうです。「日の出式」には、米海兵隊楽団の演奏、ダンスのパフォーマンスが行われました。また、3日間続いた桜祭りでは、航空ショー、パレードがあり、ワシントン・モニュメントにおいて花火が打ち上げられました。桜祭りのある夜には、ルーズベルト大統領夫人は、メイフラワーホテルで開催されたCherry Blossom Ballに出席し、桜の女王たちのダンスを観賞しました。


なお、1938年には、ジェファーソン・メモリアル建設に際して取り除かれる桜に女性団体が桜の木に体を縛り付けて抵抗するという出来事もありました。




エリザベス・トルーマン大統領夫人は、ホワイトハウスの庭に新しく植樹された桜の木の観賞を楽しみました。



マミー・アイゼンハワー大統領夫人は、1953年4月10日に行われた桜プリンセス・コンテストで全米のプリンセスに選ばれたオハイオ州出身で18歳のジャネット・ベイリーさんの載冠式に参加しました。

1953年4月10日、全米の桜クイーンに選ばれたベイリーさんに戴冠する
マミー・アイゼンハワー大統領夫人


クローディア・ジョンソン大統領夫人は、特に桜を愛した方だったようです。大統領夫人は「より美しい首都(a More Beautiful Capital)委員会」を創設し、ナショナル・モールに多くの桜を植えることにしました。ジョンソン大統領夫人は、1965年4月6日の全米桜祭りの開会式に出席し、「1912年のタフト大統領夫人と珍田大使の植樹式」を再現すべく、武内駐米大使夫人とともに桜の木を植樹しました。その植樹式の場で武内大使夫人は、佐藤栄作首相が3800本の桜の木をワシントンDCに寄贈することを発表しました。

 1965年4月4日、ポトマック河畔で植樹をするジョンソン大統領夫人


パトリシア・ニクソン大統領夫人も桜が大好きでした。1969年4月14日、ニクソン大統領夫妻は、ポトマック河畔を散歩し、日本からの贈り物である美しい桜の満開を堪能しました。

1969年4月14日、ポトマック河畔を散策しながら桜を堪能するニクソン大統領夫妻

全米各州の桜プリンセスたちをホワイトハウスに最初に招待したのはニクソン大統領夫人です。1970年4月9日、全米各州の桜プリンセスたちは、ホワイトハウスでニクソン大統領の長女トリシア・ニクソン嬢と記念撮影におさまりました。

1970年4月9日パトリシア・ニクソン嬢と各州の桜プリンセスたち@ホワイトハウス


ベティ・フォード大統領夫人も同様に桜を愛した方でした。1976年4月7日、48人の桜プリンセスたちがローズガーデンに集まり、ベティ・フォード大統領夫人の誕生日をお祝いしました。


1976年4月7日、ホワイトハウスのローズガーデンで桜プリンセスたちを歓迎するベティー・フォード大統領夫人


ロザリン・カーター大統領夫人は、1979年4月5日、全米の桜プリンセスたちをホワイトハウスのローズガーデンに招待し、ジミー・カーター大統領が彼女たちを歓迎しました。

1979年4月5日、カーター大統領と全米各州の桜プリンセス@ホワイトハウス


1981年1月、ナンシー・レーガン大統領夫人は、大河原駐米大使に3フィートの桜の木を贈呈しました。その桜の木は、アメリカ国立樹木園が、1912年に日本がワシントンDCに贈呈した桜の木から挿木で増やした木でした。


1981年2月24日、大河原駐米大使に桜の木を贈呈するナンシー・レーガン大統領夫人

レーガン大統領夫人から贈られた桜の木は、「里帰り桜」として日本に送られ、足立区皿沼にある舎人公園に「レーガン桜」として植樹され、今でも綺麗な桜の花を咲かせています。

足立区舎人公園の「レーガン桜」

レーガン大統領夫人は、全米桜祭りの名誉会長を務めるようになりました。


1984年4月2日、レーガン大統領は、ホワイトハウスのローズガーデンで全米各州の桜プリンセスたちを歓迎しました。

     President Ronald Reagan Greeting the 1984 Cherry Blossom Princesses in the White House Rose Garden

     President Ronald Reagan Greeting the 1984 Cherry Blossom Princesses in the White House Rose Garden

     1984年4月2日、桜プリンセスたちをホワイトハウスで歓迎するレーガン大統領


1992年4月8日夕方、第41代ブッシュ大統領夫妻は、ポトマック河畔を散策しながら桜の花を鑑賞しました。


1992年4月8日夕方、タイダル・ベイスンをジョージ・ブッシュ 第41代大統領と散策するバーバラ・ブッシュ大統領夫人


1993年4月13日、クリントン大統領は桜の季節にホワイトハウスの周りをジョギングしました。



1997年と1999年には、ヒラリー・クリントン大統領夫人がポトマック河畔での桜の木の植樹式に参加しました。

1997年4月10日、桜祭り開会式で挨拶をするヒラリー・クリントン大統領夫人

1997年4月10日、桜の木を植樹するヒラリー・クリントン大統領夫人


2001年3月25日、ローラ・ブッシュ大統領夫人は、ケネディ・センターにおける大規模な全米桜まつり開会式に出席しました。

2001年3月25日、全米桜祭り開会式に出席して柳井駐米大使と一緒に鏡開きに参加するローラ・ブッシュ大統領夫人


2004年3月31日には、ローラ・ブッシュ大統領夫人は、各州の桜プリンセスたちをホワイトハウスに招待し、イーストルームで一緒に記念写真におさまりました。

2004年3月31日、 桜プリンセスをホワイトハウスのイーストルームで歓迎する
ローラ・ブッシュ大統領夫人

2012年3月27日、日本からの桜の木の贈呈100周年を記念して、ミッシェル・オバマ大統領夫人は、ポトマック河畔にて、「1912年のタフト大統領夫人と珍田大使の植樹式」を再現すべく、タフト大統領のひ孫であるウィリアム・タフト四世夫妻と藤崎駐米日本大使夫人と一緒に新たな桜の木を植樹しました。


2012年3月27日、桜の木を植樹するミッシェル・オバマ大統領夫人


このように、日本から贈られた110年の歴史を刻むポトマック河畔の桜の木は、歴代アメリカ大統領夫人(そして大統領)ととても深い繋がりがあります。

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