アメリカの大学の授業料は年6万ドル台。今のレートで900万円。これに寮費、食事代、健康保険料諸々を加えると、年9万ドルを超えます。9万ドルは今のレート(1ドル=150円)で約1200万円です。
次女のデューク大学1年生の例を例示します。
23−24年秋学期
授業料:3万1725ドル
寮費:4942ドル
食事代:4272ドル
ノースカロライナ税(寮費):250.28ドル
ノースカロライナ税(食事代):68.25ドル)
健康保険料:3282ドル
Health Fee:472.50ドル
Residential Programming Fee:55.25ドル
Student Activity Fee:149ドル
Student Service Fee:376ドル
Duke Mail Box:38ドル
Recreation Fee:180ドル
First Time Registration:180ドル
計4万5990.28ドル=689万8542ドル(今のレート1ドル=約150円)
春学期分も同じ額であるとすると、単純に2倍すると1379万7084円となります.
アメリカの大学は、1年間で1379万7084円。
4年間で、5518万8336円となります。
日本の大学と比べると、かなり高額でだと思います。
しかし、他の国の大学はどうでしょうか。
英国の例を見てみます。
英国の大学システムは世界の上位100大学に11校、上位10大学に3校が入るほどの高い水準を誇り、世界的に重要な研究にとっても並外れた影響力を持っています。
しかし、英国はでは国内の学部生全てに対して政府が授業料の上限を設けています。インフレによるコスト急上昇にもかかわらず、その上限は2010年から事実上凍結されているそうです。米国の大学では最高の設備と研究を競い合う中で授業料が高騰し、学生に債務危機が広がっていますが、英国の大学は全く逆の問題を抱えているようです。大学側が授業料を十分得られない状況にあるということです。
大学は研究費から教員の給与、寮の部屋に至るまで何もかも節約しているほか、オンライン授業を増やしているようです。また市場価格の授業料を徴収できる留学生への依存を強め、自国の学生が減りつつあります。また、英国では数世代ぶりに10代の大学進学率が低下しています。
英国では、直近の年度に約30大学が赤字を計上しました。今年度はそれが3倍に増え、全体の約4分の1を占める可能性があるとのこと。昨年、賃上げを求める教員のストライキは約83大学に影響が及びました。
英国の大学の大多数は公立で、政府の年間予算に財源が組み込まれています。つまり授業料を決めるのは政治家や官僚であって大学ではないということです。学費が有料に変わった1998年以降、政府は授業料の水準を3度引き上げ、学生から猛反発を食らいました。
高インフレの影響で英国の平均給与が過去2年間下がっている中、英国政府が大学の授業料を値上げすることは当面ないと言われています。
これでは、質の高い教育を提供できなくなる可能性があるとの声もあるようです。最も優秀な人材を大学に呼び込めなくなり、サービスと知識で成り立つ英国経済に影響が波及する可能性があるとも。
英国では国内学生向け年間授業料が引き上げられたのは2012年以降に一度だけありました。2017年に9000ポンドから9250ポンド(約163万円から約168万円)に2.8%値上がりしました。2012年以降の学費はインフレ調整後の実質値で約3分の1減少しています。仮に授業料をインフレに連動させれば、1万4000ポンド近くになっていると推計されます。
英国のインフレが年率2%だった頃、授業料の上限はさほど大きな問題になっていませんでしたが、2022年に物価は平均8%上昇し、今年は7%前後上昇する可能性が高いため、相当な違いが生じています。
したがって、英国大学の目の前の課題は、コスト削減です。管理部門のスタッフや教員の一部を削減し、教育・研究分野の一部を縮小せざるを得ません。研究資金の持続可能性に問題が生じ、システム全体がきしみつつあるとの指摘もあります。
新型コロナウイルス禍の後もなお、英国の大学はオンライン教育に大きく依存しています。
英国の大学が収入増を求める中でここ数年、外国人留学生の数は急増し、留学生向け授業料も跳ね上がっているようです。ある大学の外国人留学生の平均授業料は2017年の1万8000ポンド(約326万円)から2万3750ポンド(約431万円)に上昇。これは米私立大学の授業料の上昇ペースを超えています。そのため、英国の大学には国内出身者よりも外国人留学生を優先するインセンティブが働いているようです。
アメリカのデューク大学の授業料は3万1725ドルですから今のレートで約475万8750円です。
こう比較すると、英国の大学の外国人の授業料(431万円)とデューク大学のアメリカ人の授業料(475.8万円)はあまり変わりませんね。
英国の大学にしろ、アメリカの大学にしろ、日本人にとってはかなり高額ですね。
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