Wednesday, November 16, 2022

アメリカのハイテク企業、大量解雇の流れ

最近、「フェイスブック」、「ツィッター」など、アメリカのテック企業が大量に従業員を解雇しています。 


「ゴーファンドミー(GoFundMe)」は、10月下旬の朝、唐突に全社集会が開かれ、そこでCEOのティム・カドガンが大規模なレイオフ(一時解雇)を発表ました。


「ツイッター」の新たなオーナーとなったイーロン・マスクは11月上旬から、従業員の半数を解雇し始めています。


11月9日、「フェイスブック」と「インスタグラム」の親会社である「Meta(メタ)」が従業員の約13%にあたる1万1000人を削減すると発表しました。CEOのマーク・ザッカーバーグは行きすぎた事業拡張の過ちを認めました。


ライドシェアの「リフト(Lyft)」は700人、フィンテック大手の「ストライプ(Stripe)」は約1000人の解雇に踏み切リました。話題のフィンテック企業の「チャイム(Chime)」も、「OpenDoor」も、「ズィロー(Zillow)」も、「ダッパーラボ(Dapper Labs)」も、レイオフに踏み切った企業のリストはまだまだ続きます。


これらテック企業の大量解雇の原因は、人を雇いすぎたためと言われています。利益の急増を満喫していたテック企業は、パンデミックの巣ごもり需要がもたらした好景気が続くという思い込みから、ソフトウェアビジネスで最も争奪が激しい「人材」という貴重な資源を大量に抱え込むことで、事業を積極的に拡大しました。熾烈な人材争奪戦の中で、「グーグル」や「メタ」といった企業はエリート人材をどんどん獲得。急増する従業員数と、大学新卒者の就職人気ランキングの上位に長く君臨することは、成長性、資金力、名声を象徴する勲章のようでした。従業員にとってもテック業界で働くことは、仕事を超えたアイデンティティーとなっていました。


大学並みの豪華なキャンパスを構え、多数の特典や諸手当が提供される大手ハイテク企業に刷り込まれていたのは、そうしたメンタリティーです。ストックオプションの一攫千金で人生を変える富を手にするチャンスを従業員の鼻先にぶら下げる小規模なスタートアップ企業も似たようなものでした。


しかし、こうした慣行は今、テック業界に消化不良をもたらしています。今年に入ってからハイテク業界では10万人以上が職を失っています。上記の通り、人員削減は「メタ」、「セールスフォース」、「ブッキング・ドットコム」、「リフト」といった有名上場企業から、宅配サービスの「ゴーパフ」、金融プラットフォームの「チャイム」や「ブレックス」といった高い企業価値を持つ未上場企業まで広範に行われています。11月に16%の人員削減を行ったロケット会社の「アストラ」は昨年、従業員数を3倍に増やしたばかりだでした。


今年に入ってメルトダウンに見舞われている暗号資産(仮想通貨)業界では、企業価値の高い「クリプト・ドットコム」、「ブロックチェーン・ドット・コム」、「オープンシー」、「ダッパーラボ」といった企業が、ここ数カ月で人員を何百人と削減しています。


景気減速の兆候は今年春には現れていましたが、テック企業には過去何年にもわたって大量採用を続けてきたところが多く、対応が後手に回ったと言われています。


一時は時価総額が1兆ドルを突破した「メタ」は、過去3年で従業員を8万7314人に倍増させ、株式取引アプリの「ロビンフッド」は2020年と2021年に従業員数を6倍近く増やしていました。


今では多くの人々が、この景気後退は長引くと考えるようになっています。その背後にあるのが、景気後退をもたらしているマクロ経済的な要因です。過去10年にわたる低金利の中で投資家は、より高いリターンを求めて一段とリスキーな投資先に資金を振り向けるようになっていました。こうした投資家は利益よりも急速な成長を評価し、大きなリスクを取る企業に報いてきました。


そしてテック企業は近年、投資家から湯水のように流れ込むキャッシュと急成長する事業に対応し、営業やマーケティング、採用、企業買収、実験的なプロジェクトを通じた企業拡大に巨額の資金を費やしてきました。カネ余りが人員増を促し、人材の奪い合いに拍車をかけた格好です。


ベンチャーキャピタルが望む投資を正当化できるような速い成長を成し遂げるため、とにかく急いで資金を使わなければならないというプレッシャーがあったようです。


こうしてテック企業は、「肥大化」で有名な場所となりました。1日に数時間しか働かない従業員、無料のランドリー、マッサージ、有名シェフによるカフェテリアといった贅沢な複利厚生の存在が頻繁に話題となリマした。しかし、今年の春に「メタ」はランドリーサービスをはじめとする福利厚生のカットに動いています。


これまでならテック企業の人材は解雇されてもすぐに再就職先が見つかりました。空きのポジションが大量に存在したからです。しかし、今回のレイオフの波の中でも、全員にそれが可能なのかどうかはまだわからないそうです。


どうなることやら。。。

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