トランプ大統領がウクライナへの支援をアメリカの資源の浪費と批判してきたため、2024年秋、ゼレンスキー大統領はアメリカに鉱物に関する取引を提案しました。もしアメリカの投資に見合ったリターンが得られるなら、トランプ大統領はウクライナ支援を継続することにより積極的な姿勢を示すだろうと考えたからです。元々のアイデアは、アメリカと協力して1兆ドルから1.2兆ドル規模の重要な鉱物やレアアースを開発することを提案するものでした。ウクライナの提案は、アメリカが中国とロシアの世界的な鉱物とレアアースの供給網を相手に競争し、高度な技術や武器産業に必要な鉱物資源を確保する助けになることを目的としていました。
ウクライナの支配下にある地域にはチタン、グラファイト、ウランなどの豊富な鉱床がある一方で、レアアースの多くはウクライナの争奪中または占領された地域で採掘される必要があるようです。そのため、これらの鉱床を開発するには、アメリカがウクライナの物理的安全保障を守ることにも関心を持たなければならないでしょう。アメリカとウクライナの技術および防衛産業は、密接に結びつくことになるかもしれません。
ゼレンスキー大統領の鉱物権提案は、2月初め、アメリカとウクライナの対立の火種となりました。アメリカは独自の提案を作成し、その後、スコット・ベセント財務長官がウクライナに赴き、ゼレンスキー大統領が即座に署名する必要があるという形でその提案を提示しました。
ゼレンスキー大統領は、ウクライナの安全保障保証を含まない合意に署名することはできませんでした。ヨーロッパ全体の政府関係者も、アメリカが提示した提案のいくつかの要求に衝撃を受けました。その中には、鉱物開発から最大5000億ドルの収益を得る権利が含まれており、これはロシアの侵攻が始まって以来、アメリカがウクライナに提供した支援額をはるかに超えていたからです。
ゼレンスキー大統領が最初の提案を拒否すると、トランプ大統領はゼレンスキー大統領を独裁者呼ばわりし、ウクライナが戦争を始めたと誤って非難しました。
アメリカとウクライナの関係が完全に崩壊することを恐れた両国の政府間傾斜は、調停を試み、新たな提案が議論されています。ゼレンスキー大統領は2月26日(水)、現在の提案は元の提案よりも改善されていると述べ、アメリカがすでに送った援助をウクライナが返済することを求めていない点を挙げました。新たな提案が合意されることは、ウクライナへの支援に関するトランプ大統領のコミットメントに依存していると述べましたが、提案された枠組みにはさらに作業が必要であることを示唆しました。
トランプ大統領は、2月26日(水)の初めての閣議で、ウクライナ大統領が2月28日(金)にワシントンに来て合意に署名する予定だと述べました。この合意は、ウクライナの鉱物資源を共有するものであるとトランプは言及しました。新たな提案の詳細はまだ不明ですが、アメリカとウクライナが共同所有する基金の設立が含まれており、財政的な取り決めの詳細は今後決定される模様です。共同所有する基金の正確な経済的取り決めは今後の合意で決定される必要があるとゼレンスキー大統領は述べました。基金の収益の一部はウクライナの復興活動に充てられることになっているようです。石油、天然ガス、そして重要な鉱物が合意の条件に含まれていますが、すでにウクライナ政府が収益を得ている資源は除外されています。
新たな提案には、ウクライナに対する明示的な安全保障の保証が欠けており、ゼレンスキー大統領は、この鉱物権に関する取引には安全保障の保証が必要だと繰り返し述べています。ある報道によると、新たな提案に、「アメリカがウクライナが持続的な平和を確立するために必要な安全保障の保証を得る努力を支持する」と記されているようです。
高い注目を集めている新たな提案に署名することは、ウクライナにとって悪くない話しであり、トランプ大統領がロシアとウクライナの間で平和協定を仲介しようとする中、トランプ大統領がプーチン大統領と先に会うことを恐れていたウクライナにとって重要な意味を持ちます。
2月26日(水)トランプ大統領は、米国の投資を取り戻し、将来的にもっと多くの利益を得るという取引をまとめることができた、地域の平和確立に焦点を当てている、と述べましたが、それがウクライナの政府や国境の未来にどう影響するかについては言及しませんでした。「私は安全保障の保証をするつもりはない」とトランプ大統領は述べ、ヨーロッパ諸国がウクライナに部隊を派遣するだろうとし、「しかし、すべてがうまくいくようにするつもりである」と述べました。
ゼレンスキー大統領は、プーチン大統領より先にトランプ大統領と直接話す機会を大切にしていると述べました。