Saturday, December 30, 2023

2024年アメリカ大統領選挙:コロラド州やメイン州でトランプを予備選候補者リストから外す動き→トランプは想定内と見ている?

12月19日、米国コロラド州最高裁判所は、2024年の大統領選挙に共和党から立候補を表明しているドナルド・トランプ前大統領について、合衆国憲法の規定上、同年3月に行われるコロラド州の共和党候補者を決める予備選挙に参加する資格はないとする判決を下しました。トランプ前大統領が2021年1月の連邦議会議事堂襲撃を扇動し、米国に対する暴動に関わったとして、予備選の候補者リストに同氏を含めるのは間違った行為と結論付けました。判決は、7人の判事のうち4人の賛成多数で決定されました

合衆国憲法修正第14条第3項は、合衆国憲法を支持するとの宣誓をして官職に就いた後に米国に対する暴動や反乱に関与した者は、国または州の官職に就くことはできないと定めています。コロラド州の有権者らは同条項に基づいて、トランプ前大統領が2024年の大統領選には立候補できないとして同州地方裁に提訴。地方裁は2023年11月、トランプ前大統領が暴動に関わったと判断しつつも、同条項は大統領には適用されないとして、トランプ氏の予備選参加を認める判決を出していました。これに対し、有権者側はトランプ前大統領の予備選参加が認められたことを不服とし、また、トランプ前大統領側は暴動に関わったとされたことを不服とし、双方が控訴していました。

コロラド州最高裁は修正第14条第3項が大統領にも適用されると判断し、地方裁の判決の一部を覆しました。また、地方裁と同様に、トランプ前大統領の暴動への関与も認めました。トランプ氏の大統領候補者資格を巡る訴訟は他州でも起きていますが、同条項を理由に同氏の立候補を認めない判決は今回が初めてでした。

判決を受け、トランプ前大統領の選挙陣営は連邦最高裁に控訴する意向を示しています。

 12月18日、メイン州のシェンナ・ベローズ州務長官(民主党)は、次期大統領選挙の予備選にトランプ前大統領の立候補を認めないと発表しました。この決定は、1月6日の国会議事堂暴動にまつわるトランプ前大統領の行為が合衆国憲法修正第14条第3項の "反乱条項 "に違反したことを理由に挙げています。ベローズ州務長官は、トランプ前大統領が1月6日に「選挙不正という虚偽のシナリオを使って支持者を煽った」とし、「煽動的なレトリックで暴力を煽り、それを阻止するためのタイムリーな行動をとらなかったことから、暴力の可能性を認識しており、少なくとも当初は暴力の行使を支持していた」と述べました。


 これに対し、オバマ前大統領のデイビッド・アクセルロッド元顧問は、12月29日、CNNの 「Erin Burnett OutFront」のインタビューで、トランプ前大統領の立候補資格をめぐる法的疑問が高まるなか、トランプ氏を予備選投票から除外する判決が下されれば「国がバラバラになる」と警告しました。

 アクセルロッド氏は、「このすべてについて非常に強い懸念を持っている。」、「何千万人もの人々が彼に投票したがっているのだから、彼が実際に出馬できなくなれば、この国はバラバラになってしまうだろう。」、「ドナルド・トランプを打ち負かすには、おそらく投票でやらなければならないと思う」と述べました。

 アクセルロッド氏によると、メイン州の判断は、民主党が政治的な動機で自分に不利になるよう動いているというトランプ前大統領の主張に乗っかっているように見え、それは、共和党有権者を激怒させる可能性があるとしています。

 アクセルロッド氏曰く、トランプ前大統領は、「民主党は、政治的動機によりトランプ前大統領を追い詰めようとしており、彼が大統領になるのを阻止しようとしている。」という構図を作りたがっているとのこと。すなわち、トランプ前大統領は、民主党のトランプ阻止の動きを緻密に計算しており、コロラド州やメイン州のトランプ阻止の動きは、トランプ前大統領に有利に働く可能性があるかもしれません。

 トランプ陣営はメイン州の判決を不服とし、"選挙妨害 "と批判しています。

 トランプ陣営のスポークスマンであるスティーブン・チャン氏は、「我々はリアルタイムで、選挙を盗み、アメリカの有権者の権利を剥奪しようとする行為を目撃している。間違いなく、こうした党派的な選挙妨害は、アメリカの民主主義に対する敵対的な攻撃である。」と述べています。


 12月27日、米コロラド州共和党は、コロラド州最高裁判所が来年の米大統領選でトランプ前大統領に同州での出馬資格を認めない判断を示したことを受け、連邦最高裁に上訴しました。州共和党の弁護士が明らかにした。

 トランプ前大統領題自身も連邦最高裁に上訴する見通しで、コロラド州最高裁は来年1月4日まで判決の効力を保留しました。トランプ前大統領が上訴した場合、投票用紙への同氏の記載は維持されるとしました。


Tuesday, December 19, 2023

2024年 アメリカ大統領選挙:世論調査から透けて見える有権者の見方

最近のアメリカの主要メディアの世論調査によると、アメリカ人は、トランプ前大統領のこれまでの功績について、バイデン大統領の功績よりもはるかに好意的に感じているようです。多くのアメリカ人は、食料品や生活必需品の高値にうんざりしており、バイデン大統領が助けてくれるという希望を捨てているとの結果も出ています。そのため、2020年にバイデン大統領に投票したが、2024年は再びバイデン大統領には投票しないという人の数も多くなっている模様です。

バイデン大統領は、自身の経済政策が機能している証拠として、労働市場の好調さをたびたび指摘してきました。失業率は就任当初の6.3%から2023年初頭には3.4%まで低下し、1960年代後半に記録した最低水準に並びました。その後、失業率は上昇傾向にありますが、依然として低い水準にあります。トランプ前大統領の任期開始時の失業率は4.7%で、大統領在任中に数十年来の低水準まで低下しました。

消費者物価指数で測定されるインフレ率は、トランプ前大統領の任期中はほぼ落ち着いていました。20171月から20211月までの年間インフレ率は平均約1.9%で、この間消費者物価は約7.8%上昇しました。バイデン大統領の任期中の消費者物価は17%急上昇し、年間インフレ率は平均5.8%でした。

レギュラーのガソリン価格は、アメリカ人が経済についてどう感じているかに大きく影響すしますが、トランプ前大統領の任期中は基本的に変化しませんでした。ウクライナ侵攻後のピークからは大幅に下落していますが、バイデン大統領の就任以来1ドル以上上昇しています。

世論調査によれば、トランプ前大統領の支持者ではない人たちの中で、トランプ氏が大統領だったころの方が経済は良かったと感じている人も多いようです。もちろん、彼らは、第3党の候補者に投票する可能性も排除していません。

バイデン大統領の政策が自分たちに害を与えたと考える有権者は国民の半数以上にのぼり、トランプ前大統領の政策が自分たちに役立ったと考える有権者もほぼ同数でした。

同じ世論調査で明らかになったことは、バイデン氏を大統領に押し上げるのに貢献した人々からの支持が減りつつあることです。

世論調査によると、有権者は、いかなる党に所属していても、または無党派であっても、インフレと物価高をバイデン大統領の主な不満点として挙げていますが、バイデン大統領の国内政策と外交政策にも憤慨している有権者もいるようです。多くの有権者は、バイデン政権が嫌いな具体的な政策を挙げることはできませんでしたが、その代わりに、アメリカに蔓延する倦怠感を口にしているようです。

リベラルな有権者は、イスラエルのガザ戦争に対するバイデン大統領のアプローチに怒り、学生ローンの大規模な免除など、彼が2020年の選挙キャンペーン中に打ち出した進歩的な政策を実現するために十分なことをしていないと不満を抱いています。中道派の有権者は国境警備の強化を求め、左派の有権者は彼の移民政策が右傾化しすぎていると考えています。

世論調査によると、民主党支持者と無党派層のうち、バイデン大統領の政策が個人的に苦痛だった、あるいは何の影響もなかったと答えたのは45%。有権者全体では、バイデン大統領の政策が自分を傷つけたと答えた人は53%で、彼の政策に助けられたと答えた人は23%と4分の1以下でした。トランプ前大統領の政策に個人的に助けられたと答えた有権者は49%で、助けられたと答えた有権者は37%に過ぎませんでした。

バイデン大統領が在任した約3年間、インフレ率は過去40年以上で最高の9.1%に達しましたが、その後は3.1%まで急落しました。一方、労働市場は大統領就任期間を通じて好調を維持し、失業率は比較的低く、賃金の伸びは今年初めから物価を上回るようになりました。

バイデン大統領は、約1兆ドルのインフラ法案、大規模な気候変動対策、税制、医療保険制度、国内半導体産業強化のための数十億ドル規模の法案など、過去数十年の大統領の中で最も大規模な法案を主導してきました。一方で、4,000万人のアメリカ人が抱える学生ローンをなくすための4,300億ドルの計画を最高裁に阻止されました。

トランプ前大統領が成し遂げた主な立法措置は、ここ数十年で最も広範囲に及ぶ米国税制の見直しであり、法人税率を引き下げ、ほとんどの個人に対する税金を引き下げました。また、米国・カナダ・メキシコの新たな貿易協定の樹立を主導する一方、中国には関税を課しました。トランプ政権は不法入国を食い止めるため、約500マイルに及ぶ国境の壁を建設しましたが、その大部分は、すでにあらかじめ障壁があった場所にフェンスを設置し直したものでした。トランプ前大統領は、コロナウィルス感染症の大流行の初期対応を行い、連邦政府は経済に数兆ドルを投入しました。

経済学者によれば、トランプ前大統領とバイデン大統領が承認した支出は、パンデミック初期の数ヶ月間の経済を緩和し、その後回復を早めたそうです。それでも、2021年に経済が再開し始めると、その需要は労働力不足やサプライチェーンのボトルネックと衝突してインフレを煽り、2022年にロシアがウクライナに侵攻してガソリン価格が急上昇すると、さらに悪化しました。

バイデン大統領が国境の壁の建設を再開したこと、大規模な学生ローン免除の約束を守らなかったこと、そしてガザの市民を守るためにもっと努力しなかったことを非難している民主党支持者は多いようです。

2024年大統領選挙では、バイデン大統領にもトランプ前大統領にも投票するつもりはない人が増えつつあります。 

バイデン大統領の支持者たちは、選挙戦が本格化するにつれ、トランプ前大統領とバイデン大統領の対比が国民に伝わり、選挙前の11ヶ月間で有権者を味方につける自信があるように見受けられます。また、バイデン大統領の医療、薬価、中絶、その他の問題に対する立場は有権者に人気があります。

世論調査によると、有権者は2024年の共和党大統領選の最有力候補であるトランプ前大統領を、経済、インフレ、犯罪、国境警備、イスラエル・ハマス戦争など、多くの主要な問題に対処できる人物だとも見ているようです。

共和党員および共和党寄りの無党派層の88%が、トランプ前大統領の政策が自分たちを助けてくれたと考えています。民主党と民主党寄りの無党派層の4分の3近くは、トランプ大統領の政策は害になったと考えるが、10人に1人は役に立ったと考えています。


Friday, December 15, 2023

アメリカの大学の授業料は高い!(次女の私立大学1年時(2023−24)にかかった授業料を含む経費)

 次女は今年の8月からアメリカの私立大学の1年生。

キャンパス・ライフを満喫していると思いますが,秋学期ももうすぐ終わります。そして、先日、春学期分の授業料などを含む諸経費の支払いを済ませました。

アメリカの私立大学は、果たしていくらかかるのか。


◯次女のアメリカの私立大学1年生時にかかる経費

総計:8万8,518.68ドル(2023−24年)

(内訳)

授業料:$6万3,450ドル

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・寮費:9,884ドル

・レジデンシャル・プログラム費:110.50ドル

・ノースカロライナ州税(寮費分):500.56ドル

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・食費:8,494ドル

・食費契約費:50ドル

・ノースカロライナ州税(食費分):136.50ドル

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・健康保険料:3,282.12ドル

・ヘルス費:945ドル

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・初期登録料:180ドル

・リクリエーション費:360ドル

・学生サービス費:752ドル

・学生活動費:298ドル

・デューク・メール・ボックス費:76ドル

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なんと,アメリカの私立大学は,1年時に8万8,518.68ドルもかかるんです。

最近,急速に円高になっていますが,まだ140円台です。

現在の為替レートは,1ドル=141.82ドル。

このレートで計算すると,デューク大学は,

1年時に、1255万3719円

もかかる計算になります。


4年間で約5000万円。


これがアメリカの私立大学の現実です。

さらなる円高を祈るのみ。


2024年アメリカ大統領選挙:バイデン劣勢?

ウォール・ストリート・ジャーナル紙による最近の世論調査によれば、バイデン大統領の支持は大統領就任以来最も低迷しており、有権者はバイデン大統領の仕事ぶりに最も低い評価をしていることがわかりました。

トランプ前大統領との一対一の仮想投票では47%対43%と4ポイント差でトランプ前大統領に遅れをとっています。5人の第三党・無所属候補を加えると、トランプ前大統領のリードは37%対31%の6ポイントに拡大しています。

バイデン大統領の政策が個人的に役立ったと答えた有権者はわずか23%で、53%はバイデン大統領の政策によって傷ついたと答えています。トランプ大統領時代の政策が個人的に役立ったと答えた有権者は約半数で、傷ついたと答えた37%を上回っています。

バイデン大統領の仕事ぶりを評価する人は37%で、バイデン政権が始まってからのウォール・ストリート・ジャーナル紙による世論調査で最低を記録しました。バイデン大統領の代表的な経済政策である「バイデノミクス」は、30%以下の有権者から好意的に受け止められており、半数以上からは好意的に受け止められていません。

この調査結果は、バイデン大統領と民主党に衝撃を与えているそうです。民主党の一部は、81歳のバイデン大統領の体力について公然と懸念しています。

有権者の3分の2が景気を「悪い」または「良くない」と評価し、3分の2が過去2年間、景気が悪化したと答えています。48%が「今の世代が前の世代より良くなるとは思わない」と答えたのに対し、「今の世代の方が良くなる」と答えたのは44%でした。

バイデン大統領は、若年層や黒人・ラテン系有権者には力不足と見られているようです。彼らは、2020年や2022年に投票したような熱意を示していないようです。

世論調査では、「腐敗」という言葉はバイデン大統領よりも4つの刑事訴追で91の容疑に直面しているトランプ前大統領の方が当てはまると有権者は答えており、バイデン大統領の方がより多くの有権者から誠実だと見られています。

有権者は、国境警備(30ポイント差)、インフレ抑制(21ポイント差)、経済成長(17ポイント差)については、バイデン大統領よりトランプ前大統領の方が有利だと答えています。バイデン大統領は中絶政策でリードしており、有権者はトランプ前後の大統領よりも民主主義を尊重していると答えています。

バイデン大統領の政党は、イメージも悪くしています。有権者は両党を悪く見ていますが、民主党に対する否定的な見方が肯定的な見方を18ポイント上回っているのに対し、共和党は13ポイント差。来年の議会選挙で有権者がどちらの政党を支持するかについては、共和党が5ポイントリードしています。8月の時点では両党はほぼ同率でした。

Thursday, December 7, 2023

電気自動車の欠点:修理代は高く、修理期間は長い?

世の中は、電気自動車が流行しています。地球にやさしいということもあります。

しかし、電源が火力発電所から作られるのであれば、電気自動車は必ずしも地球に完全に優しいとは言えません。

電気自動車は、それ以外にも問題があるようです。

それは、事故後の修理費が高額、修理期間も長期になりがちだということです。
電気自動車は、交換が必要な部品が多く、車両が複雑で修理をできる人が少ないことが大きな原因です。

米国のあるデータによれば、昨年の衝突後の修理費用は全車両で4215ドルだったのに対し、EVは6587ドルだったそうです。

一方で、ディーラーや自動車メーカーは、電気自動車への買い替えを勧める際、保守費用を節約できる点を売り込んでいます。それは、電気自動車はガソリンが不要なことに加え、維持費が少ない傾向があるからです。オイル交換やエンジン調整、ベルトの交換といった定期的な作業が不要なため、電気自動車は維持費がガソリン車の半分ほどで済むそうです。

しかし、修理が必要になった場合、高くつくことになりかねません。電気自動車所有者にとって、修理費の高さは保険料の上昇にもつながっています。ある専門会社によれば、ガソリン車の保険料は1カ月あたり平均248ドルであるのに対し、電気自動車は357ドルとのこと。

電気自動車の修理に必要な交換部品数は昨年、平均でガソリン車の約2倍でした。多くの電気自動車部品は固定や溶接の仕方が理由で修理ができず、交換せざるを得ないことが多いからです。これらの車両が衝突事故を起こした場合、さまざまな原因から修理がさらに複雑になりかねません。車体の分解はより複雑で、修理には多くの手順と注意が必要になることが多いそうです。

リチウムイオンバッテリーを搭載した車両は損傷した場合に火災の危険性があるため、保管に際しても特別な配慮が必要です。そのため、修理工程にさらに多くの時間とコストがかかるといわれています。

電気自動車は従来の鋼鉄よりも珍しい素材を使用することが多いため、車体自体の部品代や工賃が高くなる場合があるそうです。素材の中にはアルミニウムなど、特殊な工具や保管設備が必要なものもあるため、作業を行える修理工場は限られるそうです。修理工場は作業上のリスクを負い、工場を改造するため、高い料金を課すことになってます。

電気自動車の修理には通常よりも時間がかかることも多いです。その種の作業ができる工場がまだ限られていることが理由です。あるデータによれば、電気自動車を修理工場に持ち込むまでの期間は、従来型車よりも25%長いそうです。修理にかかる日数も、ガソリン車が45日であるのに対し、電気自動車は57日となっています。

もちろん、自動車メーカーが補修部品の供給を増強し、訓練を受けた独立系の修理工場が増えるのに伴って、電気自動車の修理コストが下がる可能性はあります。

電気自動車市場をリードするテスラは、衝突修理センターを自社で保有しているほか、個人経営の修理工場網も確保しています。電気自動車を修理できる設備が整った工場が増えたことが、テスラ車の修理コストが過去10年で半減しているそうです。